京都地方裁判所 昭和43年(手ワ)123号 決定 1968年5月08日
原告
京都信用金庫
右代表者
浜正男
右代理人
杉島勇
ほか一名
被告
株式会社松本正夫商店
右代表者
松本正夫
被告
西川伸銅工業株式会社
右代表者
小林菊次郎
主文
本件を神戸地方裁判所に移送する。
理由
本訴は、左記約束手形の所持人である原告の被告等に対する約束手形金請求訴訟である。
金額 二、四六二、一八九円
支払期日 昭和四三年二月一五日
振出地・支払地 神戸市
支払場所 株式会社住友銀行三宮支店
振出日 昭和四二年八月三一日
振出人 被告株式会社松本正夫商店(本店神戸市)
受取人・第一裏書裏書人
被告西川伸銅工業株式会社(本店東京都)
第一裏書被裏書人
原告京都信用金庫
したがつて、当京都地方裁判所は、本訴の管轄裁判所ではない。
原告は、「被告西川伸銅工業株式会社(被告西川伸銅)は、京都市南区上鳥羽管田町所在のその営業所における業務に関し、本件手形の裏書をしたものであるから、京都地方裁判所は、民事訴訟法第九条にもとづき、本訴の管轄裁判所である。」と主張する。
手形債務は、いわゆる抽象性を有するから、民事訴訟法第九条(事務所・営業所所在地の特別裁判籍)は、手形債務者に対する手形金請求訴訟に適用がないものと解するのが相当である。
したがつて、仮りに、本店東京都の被告西川伸銅が、京都市所在のその営業所における業務に関し、支払地・神戸市の本件約束手形に裏書をしたとしても、右営業所所在地の裁判所である京都地方裁判所は、被告西川伸銅に対する約束手形金請求訴訟について、民事訴訟法第九条にもとづく管轄権を有しない。
よつて、民事訴訟法第三〇条により主文のとおり決定する。(小西勝)